ことの始まりは家族内で腕前を競った「グリル対決」でしたが、それが15年間にわたる究極のステーキの追求へと繋がり…いつしかHakuSteakの誕生となりました。親戚をうならせたいという思いに駆られたHakuLifeの創業者は、周到に準備を進めました。 ケルト海からヒマラヤまで、あらゆる塩を試し、選び抜きました。ピンク、黒、緑のコショウの実を手でつぶしたり、機械でつぶしたりしました。調理の温度や素材を休ませる時間についても慎重に検討を重ねました。最終的にはジョスパー社のチャコールオーブンをバルセロナから取り寄せ、中は肉汁たっぷりジューシーで、外はカリカリという完璧な組み合わせを生み出しました。
肉そのものについても、牛の品種から肉の等級、そしてステーキの厚みまで、あらゆる選択肢を綿密に試し、管理してきました。現在、HakuSteakの絶品和牛は、1946年から黒毛和牛を飼育する、古風で趣のある白老町の4世代続く農家から仕入れています。この農場の牛は商業目的で飼育されているわけではなく、愛情をこめて育成され、天然有機飼料を食べて育ちます。HakuSteakは専属契約を結ぶことにより、この非常に珍しい和牛を安定的に確保できる唯一のレストランとなりました。これにより、一口ごとに、神秘的な第5の味覚である「うま味」が口の中で溶け出す、肉全体に滑らかな網状のサシが入った霜降りの分厚い脂の乗ったA4ランク和牛を提供できるようになりました。

ハク・ステーキは、北海道の四季、豊かに織りなす文化や環境の賜物です。




塚羽は、繊細さと敬意を併せ持つ稀有な料理人です。HakuLifeのキッチンにおいて、彼は食材への深い理解と、料理という行為そのものへの畏敬の念をもって一皿一皿に向き合っています。彼の料理の原点はフランス料理とイタリア料理にありますが、日本の食文化に息づく「旨味」と「素材の真髄」に強く惹かれ、鰹節や山葵といった日本固有の食材が、彼の感性をさらに豊かにしてきました。
かつて自衛隊で過ごした経験が、彼の中に「食」への静かな尊敬と「栄養」という概念への深い洞察をもたらしました。その時間は、彼に規律と誠実さを教え、料理という行為に「心」と「責任」を注ぐ姿勢を培いました。
彼はこれまで20年以上にわたり、東京から軽井沢まで、日本各地の名だたるレストランで研鑽を重ねてきました。料理長としてチームを率い、後進の育成にも尽力してきた経験を経て、今は「規模よりも親密さ」を大切にしています。HakuLifeでは、目の前のゲストのために直接料理を作ることに喜びを見出しています。それは、食を通じて人と場所をつなぐ行為であり、真のもてなしの形です。
彼のメニューは北海道の豊かな食材を中心に構成され、とりわけ地元の野菜やじゃがいもへの情熱は格別です。塚羽は複雑さを避け、素材そのものの個性を引き立てることを何よりも重視します。余分な装飾を排し、素材が「呼吸する」余白を大切にするのです。
その哲学のもと、HakuLifeの厨房には「完成」という概念は存在せず、「研ぎ澄まし続ける」という道だけがあります。季節ごとに変わる食材に耳を傾け、自然の声を料理で表現する――それが彼の料理哲学です。彼が作る一皿は、派手ではなくとも、静かに心に残り、食後にも余韻を響かせます。HakuLifeで彼の料理を味わうことは、北海道という土地の恵みと、人の手の温もりを同時に感じる体験です。